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(222)ピロリ除菌後も胃カメラは必要

がんは全体でいえば、かかる人の数も、それが原因で亡くなる人の数も、増え続けている病気です。まだ征圧には程遠いのが現実ですが、種類によっては治療だけでなく予防も進歩しているものが出てきています。

高血圧で通院している50代前半の男性患者さんが、健康診断の結果を持って受診しました。胃カメラで胃炎を指摘され、ピロリ菌の感染も陽性だったため除菌治療を受けてきたという報告でした。

胃がんは大腸がんの次にかかる人が多く、毎年12万人が診断を受け、4万人が胃がんのため亡くなっています。近年は少しずつ減ってきていますが、大きく影響しているのがピロリ菌に対する研究が進んだことと、多くの人に認知されるようになったことです。

ピロリ菌は胃の粘膜にすみ着いて炎症を引き起こす菌で、胃炎と胃潰瘍のほか、胃がんの発生にかかわっています。胃がんは多くの場合、長年のピロリ菌感染の結果、胃の粘膜が萎縮した萎縮性胃炎という状態から発生してきます。

ピロリ菌は胃薬と抗生剤の組み合わせを1週間内服するという方法で、8~9割の人が除菌に成功します。除菌を行った人と、感染したままの人での胃がんの発生率を比べた研究では、総じて胃がんの発生が除菌により半分に抑えられることが示されています。除菌治療を受ける人は近年増えており、今後は感染者も胃がんの発症も減っていくと考えられます。

除菌で胃がんが確実に減らせるものの、可能性がゼロになるわけではありません。すでに萎縮性胃炎になっていれば除菌成功後でも胃がんになることがあります。またピロリ菌が陰性という判定を受けていても、胃の粘膜に萎縮などの変化があれば、胃がんが発生してくることは珍しくありません。そのため、ピロリ菌が陽性かどうかにかかわらず、必ず一度は胃カメラを受け、胃の状態を確認しておくとよいでしょう。

ピロリ菌が陽性であれば定期的に胃カメラを受ける必要があります。除菌に成功したとしても、胃の状態によってやはり定期的な胃カメラが必要になります。特に除菌後など、ピロリ菌が陰性の状態で出てくる胃がんは胃カメラでも発見が難しいことが多いため、内視鏡専門医に検査してもらうのがよいでしょう。除菌治療を受けたのでもう安心というその男性患者さんにも、今後も胃カメラを受けることをお勧めしました。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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