中東・アフリカ 戦闘長期化で食料不安高まる

イスラム教のラマダン(断食月)が始まり、チュニジア・チュニスの市場で買い物をする人々(ゲッティ=共同)
イスラム教のラマダン(断食月)が始まり、チュニジア・チュニスの市場で買い物をする人々(ゲッティ=共同)

ロシアとウクライナの農産物に依存する中東・アフリカの国々で食料不安が本格化してきた。新型コロナウイルス感染拡大に続いて息つく間もなく難局に見舞われ、打開策に欠けるのが実情だ。

イスラム諸国は4月初旬、日中の飲食が禁じられるラマダン(断食月)に入った。エジプトでは日没後に友人や親類を招いて食事を振る舞うのがこの時期の習わしだが、首都カイロに住む30代の主婦は「食料価格が上昇したので、買う量を減らした。子供が2人おり、牛乳が値上がりしているのはとても困る」とこぼした。

エジプトは、農業大国のロシアとウクライナに輸入小麦の約8割を依存している。英字紙デーリーニュース・エジプトなどによると、3月の都市部のインフレ率は前年同月比で10%超と、約3年ぶりの高さになった。食料品は全般に高値傾向を示したが、なかでも穀物・パンが11%値上がりし、政府はパンの価格統制に乗り出した。

通貨下落もインフレ圧力の一因だ。エジプト・ポンドは近年、1ドル=15ポンド台で推移していたが、3月中旬に1ドル=18ポンド台に下がった。政府は国際通貨基金(IMF)の財政支援を受ける準備に入ったといわれる。

エジプト政府は一方で安価な食料品の提供に力を入れている。カイロ近郊ギザにある農業省直営の屋外市場では11日、訪れた客が野菜などを購入する姿が見られた。店員の男性は「食料品価格はロシアの侵攻前と変わらない」と強調した。

エジプトは人口が1億人超と中東で最も多く、うち3割が貧困下で暮らしているとされ、政府は直営店を通じて貧困層の生活を支援している。

在カイロの経済評論家、マイケル・マムドゥハ氏は産経新聞の電話取材に、「今後は(原油価格の上昇で)ガソリン価格が上がるのは確実だ。通貨の下落で外国からの投資も冷え込み始めている」とし、エジプト経済の苦境はさらに深刻になるとの見方を示した。

国連人道問題調整室(OCHA)によると、アフリカ全体の小麦輸入の半分はロシアとウクライナが担っている。両国は安価な肥料や食用油の主要輸出国でもあり、戦闘の長期化は食料危機に直結する問題だ。

欧州連合(EU)は先週、中東・北アフリカの食料確保のために総額2億4千万ドル(約300億円)の支援を行うことを決めた。中東の対象国・地域にはエジプトのほかレバノン、パレスチナなどが含まれている。(カイロ 佐藤貴生)

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