大阪府の誤算 千床整備も使用率7%、コロナ療養施設閉鎖へ

大阪府が5月末で閉鎖する方針の「大阪コロナ大規模医療・療養センター」=大阪市住之江区のインテックス大阪(恵守乾撮影)
大阪府が5月末で閉鎖する方針の「大阪コロナ大規模医療・療養センター」=大阪市住之江区のインテックス大阪(恵守乾撮影)

大阪府は新型コロナウイルス対策として、大阪市の国際展示場に設けた臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」を5月末の期限で閉鎖する方針だ。総予算84億円をかけて整備した1千床の使用率は、最大7%。昨年の感染「第5波」までの傾向を踏まえ、医療を受けられない若者の受け皿を目指したが、第6波では若年層よりも高齢者に重症者や死者が続出する〝ミスマッチ〟が発生し、結果的に誤算となった。

センターは昨秋、大阪市住之江区の「インテックス大阪」6号館の1~3階部分(延べ約4万平方メートル)に整備。深刻な病床不足に陥った昨年3~6月の第4波で、肺炎が悪化しても治療を受けられずに亡くなる自宅待機患者が続出して設置された。

感染急拡大により一般医療を制限する「災害級非常事態」での運用を想定。軽症・無症状患者向けの800床は宿泊療養施設を補完し、中等症用200床は、病床逼迫(ひっぱく)時に受け入れ先が決まるまで待機できる一時待機所の代替とした。

今年1月末に原則40歳未満を入所対象者として稼働させたが、オミクロン株が流行した第6波で「若い世代にどんどん肺炎が起きて酸素投与が必要になる状況にならなかった」(吉村洋文知事)。「想定外」(府幹部)の事態だった。

重症化リスクが高くない若年層は、過ごしやすい自宅での療養を望むケースが多く、自宅療養者は最大7万5千人を超過。宿泊療養施設は1万室以上を確保しながら、使用率は30%に満たず、センターへの入所者も最大で70人。ある府幹部は「宿泊療養施設が埋まらないのにセンターを開けても入らない」と嘆いた。

立地を含む施設環境も影響した。府幹部は「周辺に3次救急の医療機関がなく、重症化リスクが高い人は入れられない。自家用車がない人にとってアクセスがいいとはいえない」と話す。「天井が高すぎて就寝時に不安」として、入所後まもなく宿泊療養施設に移った患者もいたという。

第6波では病床逼迫のあおりで、陽性判明後も待機を余儀なくされた高齢者施設でクラスター(感染者集団)が多発。施設関係者から「感染した高齢者をセンターで受け入れられないのか」との不満が噴出した。

府は要介護の患者受け入れを検討したが、当初から自立生活ができる患者を想定し「センターには手すりもなく、バリアフリーでもない」として断念した。

府専門家会議の座長を務める朝野(ともの)和典・大阪健康安全基盤研究所理事長は「介護が必要な人にも対応できる環境整備を想定していなかったことは反省点だが、広い施設で認知症の患者らに対応するのは実際難しいだろう」と述べた。

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