囲碁の中学生棋士、仲邑菫二段(13)が、5連覇を目指す藤沢里菜女流名人(23)に挑む囲碁の第33期女流名人戦三番勝負の第1局が14日午前10時、東京都千代田区の日本棋院で始まった。13歳1カ月の仲邑二段が女流タイトル戦に臨むのは、藤沢女流名人が16歳0カ月で女流本因坊戦(平成26年)に出場したのを大きく上回る最年少記録。5つある女流タイトルのうち、4つを保持する第一人者の藤沢女流名人との注目されるシリーズだ。
立会人の吉原由香里六段の合図で先・後(攻)を決めるニギリで先(黒)番になった仲邑二段が右上隅に着手、藤沢女流名人が左下に応じた。
両者は8日にあった国際女流棋戦でインターネットを利用して対局し、藤沢女流名人が勝利しているが、対面では公式戦初対決。
開始9分前に入室した仲邑二段は、やや硬い表情でテレビカメラ5台など約50人の報道陣を見回した。淡いピンクのコートを脱ぎ、濃い紫色のセーター姿になった仲邑二段は、碁盤や石の入った碁笥(ごけ)を手ぬぐいで拭き清めた。5分後、2、3度会釈して入った藤沢女流名人は、仲邑二段にも軽く頭を下げ、仲邑二段も応じた。ベージュのカーディガンを脱ぎ、黒のワンピース姿の藤沢女流名人は、盤上をみつめ精神集中をはかった。
持ち時間は各3時間。日本棋院内で行われる3時間以内の本戦や予選は、AI(人工知能)ソフトの不正利用などを防ぐ目的で4月1日から昼食時間の設定がなくなったが、藤沢-仲邑戦は挑戦手合(タイトル戦)のため、午前11時45分から45分間の休憩が設けられており、14日夜までに決着する見込み。
挑戦が決まった際、仲邑二段は「こんなに早くタイトル戦に出られるとは思っていなかったので、うれしい。少しでも手応えを感じる内容の碁を打てれば」と話し、藤沢女流名人は「プレッシャーに押しつぶされるかもしれないが、今は楽しみ」と語っていた。