再犯抑止に必要な地域適応 「交流型少年院」設置

法務省が神奈川県内に「地域交流型」少年院を新設することが14日、判明した。その背景には、虐待経験や発達障害に対する周囲の無理解などから社会へ適応しづらい少年らの収容が増える現状にあり、世間とつながることで非行抑止に一定の効果をもたらすことが認知されつつあるためだ。社会への順応を促すことで、退院後、孤立による再犯を防ぐ狙いもあり、専門家も新たな試みに期待を寄せる。

令和3年版犯罪白書によると、少年による刑法犯などの摘発人数は昭和58年の約31万7千人をピークに、令和2年には約3万2千人まで減少。少年院の収容者数も減り続けている。

一方、全国の少年院では、虐待を受けた経験や発達障害などがある少年の割合が増加。同省の調査によると、収容された少年のうち身体や精神的な虐待を受けた経験があると答えたのは男子が37・9%、女子では68・6%にものぼった。

虐待経験や発達障害が直接犯罪に結びつくわけではないが、衝動や欲求を抑制できず非行に走ったり、周囲の無理解から社会に適応しづらくなったりすることで、不満や孤立感などを募らせる事例が多くみられるという。

元家庭裁判所調査官で、多くの非行少年らと関わってきた文教大の須藤明教授(犯罪心理学)によると、少年らのコミュニケーション能力や衝動の抑制、法に触れるような極端な興味などは、成長の早い段階に気付くことで修正できるという。須藤氏は「発達障害などで抱える生きづらさが周囲に見過ごされず、適切な処置や支援を受けられるかで、社会での適応力が左右される」と強調する。

退院後の就学や就労の有無により、再非行率に差が生まれることもあり、更生には、収容中から世間とのつながりをもつことが重要だ。新少年院が進める地域交流型の矯正教育について、「地域社会との垣根を取り払う試みは、再犯防止に有益。地域でも理解を深め、社会全体で受け皿を作っていく必要がある」と期待した。(王美慧)

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