先月28日から、中国最大の経済都市・上海は新型コロナウイルス対策のためにロックダウンされた。当初は市中心部を東西に分けて順番に封鎖していく措置であったが、今月5日から上海市全域に拡大された。この原稿を書いている9日現在、全市ロックダウンは継続中で、解除される見通しは立っていない。
上海市内の感染拡大状況はどういうものだったのか。実はロックダウンされた2日前の3月26日、上海市内で確認された陽性の無症状者数は2631人で、症状のある新規感染者数は47人であった。欧米や日本の感染拡大の状況に照らせば2桁の新規感染者が出ただけで、約2600万人の大都会をいきなりロックダウンするとはいかにも過剰にして極端な措置であろう。さらに経済の視点からすれば、中国の「成長センター」の一つである上海のロックダウンが中国経済全体に与えるダメージの大きさは計り知れない。
問題は、当局がどうしてそれほど過剰な封鎖措置をとったのかである。