露軍侵攻「戦争犯罪」認定 欧州安保機構が報告書

ウクライナ南東部マリウポリで燃える建物の衛星写真=9日(マクサー・テクノロジーズ提供、ロイター=共同)
ウクライナ南東部マリウポリで燃える建物の衛星写真=9日(マクサー・テクノロジーズ提供、ロイター=共同)

ロシア軍によるウクライナ侵攻を調査していた欧州安保協力機構(OSCE)は13日、「露軍が戦争犯罪、国際人道法違反を犯した証拠を裏付けた」とする専門家チームの報告書を発表した。露軍の戦争犯罪を認定した国際機関の報告書は初めてとみられる。

OSCEは米露や欧州各国など57カ国が加盟する安全保障の国際機関。45カ国の要請を受け、専門家3人が侵攻開始の2月24日から4月1日を対象に、ウクライナ当局や国際機関、NGO、メディアの情報を分析した。調査に反対した露の立場も最大限考慮したという。

報告書は「ロシアが国際人道法の義務を尊重していれば、民間人死傷者や民家などの被害ははるかに少なかった」と指摘。拷問や生命を脅かす人権侵害の大半が、「露軍が実効支配する地域や組織の下で行われたことを示唆する証拠を見つけた」としている。

個別事例として露軍に包囲された東部マリウポリに言及し、市内に15万~30万人が閉じ込められ、「数千人しか退避できていなかった」と強調。3月9日の産科小児科病院で子供ら20人が死傷した空爆について「病院を意図的に狙った攻撃だ」と断じ、事前に退避勧告をしなかったとして「戦争犯罪にあたる」と認定した。

避難者約300人が死亡した同16日のマリウポリの劇場への空爆にも言及。多くの子供や民間人が避難していたのは「議論の余地がない」として人道犯罪を認定、ウクライナ側が爆破したとする露側の主張は「事実だと示す兆候が一切ない」として退けた。

首都キーウ(キエフ)近郊ブチャで「処刑」が行われたなどの情報も寄せられたとして、「確認されれば重大な戦争犯罪だ」と指摘。ウクライナ側にも露軍捕虜への「違反行為」があったとしたが、露側の違反は「性質と規模ではるかに大きい」と結論付けた。

クラスター爆弾使用や女性への性暴力、民間人の強制連行、略奪行為なども「複数の報告があった」と懸念を表明。調査結果は国際刑事裁判所(ICC)などの関連機関に提示される見通し。一方、ロシアOSCE代表部はツイッターで、報告書は「根拠のないプロパガンダに基づいている」と反論した。(桑村朋)

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