中国の習近平政権下で、ここまで庶民の不満が高まり、社会が混乱に陥ったのは、新型コロナウイルスの感染爆発を受けて2020年に実施された湖北省武漢の都市封鎖以来だろう。
4月初めに全面的な都市封鎖が導入された人口2500万人の大都市・上海では、庶民の〝阿鼻叫喚〟を伝える数々の動画がインターネット上に拡散した。普段厳しい言論統制を敷く中国だが、武漢封鎖時と同様、怨嗟(えんさ)の声が多すぎて対処しきれていないようだ。
「共産党は俺を捕まえてみろ。どこに共産主義があるんだ? 庶民はどうなってもいいのか!」
集合住宅の敷地内。若い男性は携帯電話で、当局者とみられる通話相手に怒りをぶちまけている。自身が経営する店は閉店を強いられ資金が尽きたという。自らの食料もない。「お前らはわれわれを死に追いやっている! 上海市政府は人間なのか」と叫んだ。
4日以上食事をしていないという別の男性が、警察の派出所に助けを求めた際の録音も注目を集めた。