ロシアのウクライナ侵攻後、中国から投資マネーが流出する動きが出ている。2月には海外投資家による中国債券の保有残高が約3年ぶりに減少に転じ、世界の主要金融機関が加盟する国際組織が「規模と激しさから見て、空前の資金流出」と指摘した。ロシアに巻き込まれる形で中国も米欧の制裁対象となるリスクなどが警戒され、中国経済をめぐる新たな懸念材料となっている。
中国誌の財新(電子版)によると、2月時点で海外の機関投資家が管理を委託する中国債券の残高は3兆6665億元(約71兆4000億円)で、1月と比べて約670億元(約1兆3000億円)減少した。中国の銀行間債券市場の証券決済機関である中央国債登記結算(CCDC)のデータによるもので、保有残高が前月比で減るのは2018年11月以降で初めてという。
米ブルームバーグ通信によると、国際金融協会(IIF)は3月24日に出したリポートで「規模と激しさから見て、中国の資金流出は空前のものだ」と異変を強調。中国以外の新興市場では見られない動きだという。財新は、3月も中国からの資金流出が続いたというデータを伝える。