【ワシントン=渡辺浩生】バイデン米大統領は12日、訪問先の米アイオワ州で、ウクライナに侵攻を続けるロシアの民間人に対する残虐行為について「ジェノサイド(集団殺害)」との認識を示した。バイデン氏はこれまでプーチン露大統領やロシアの行為を「戦争犯罪」と呼んできたが、「ジェノサイド」と言明したのは初めて。
バイデン氏は、価格が高騰するエネルギー対策の演説で、ウクライナ侵攻が「世界中のガソリン価格と食料価格を上昇させている」と非難したうえで、プーチン氏を念頭に「戦争を宣言し、ジェノサイドに関与している独裁者」と発言した。
演説後、バイデン氏は記者団に「私はジェノサイドと呼んだ。プーチン(露大統領)は、ウクライナ人であることができるという概念を消し去ろうとしていることがますますはっきりとしてきた」と主張。「証拠は増え続けており、先週とは異なってみえる」「より多くの証拠が、文字通りロシアがウクライナで犯してきた恐ろしい行為から見つかっている」と強調した。
首都キーウ近郊のブチャなどで多数の民間人の遺体がみつかったことやロシアが制圧を狙う東部マリウポリで徹底した都市破壊を続けていることを念頭に判断したとみられる。
バイデン氏はさらに、ジェノサイドの認定について「国際的には法律家が判定する」としつつ、「私には確かにそうみえる」と述べた。