ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー市場の不安定化により、中東の湾岸アラブ産油国が存在感を強めている。バイデン米政権は原油などのエネルギー増産を要請しているが、働きかけは難航。中東への関与を引き下げつつ、気候変動への取り組みや中国との競争強化を目指してきたバイデン政権の外交方針は練り直しを迫られている。
「二重基準」批判に拍手
3月下旬、カタールの首都ドーハで開催された国際フォーラムで、同国のムハンマド外相の言葉に拍手がわき起こった。「ウクライナでの人道上の惨状は、この地域(中東)の国々が何年も味わってきたものだ」「国際社会は(ウクライナへと)同等の関与を中東に対して行うべきだ」。込められているのは、ウクライナと比べて中東発の人道危機や難民問題が軽視されてきたとの不満だ。