北京春秋

大翻訳運動

ロシアによるウクライナ侵攻当初、中国の交流サイト(SNS)では「戦争が長引けばウクライナ美女が中国に来る」といった、見るに堪えないコメントが目立った。それらは間もなく削除対象となったが、報道を通じてウクライナに伝わり、現地で対中感情悪化につながったと指摘される。

そうした中、海外のSNSを舞台に、中国国内で発信されている過激な言論を英語などに翻訳して広める動きがある。「大翻訳運動」などと称され、在外華人による勝手連的な活動とみられている。翻訳対象は中国のSNSでの投稿のほか、中国メディアの報道にも及び、ウクライナ問題に限らず対米批判の文章なども取り上げている。

これに反発するのは中国の官製メディアだ。共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「『大翻訳運動』は敵対勢力が発動した対中認知戦だ」とし、情報工作であるとの見方を紹介した。折しも昨年には習近平国家主席が「愛される中国」のイメージを作るよう指示したが、その妨げになる可能性が出ている。

中国メディア関係者は「国営メディアは大翻訳運動を警戒している」と指摘する。翻訳対象は中国で報道されたもので、「捏造(ねつぞう)」と切り捨てられないからだ。国内向けのプロパガンダが中国の対外イメージに打撃を与えている形だ。(三塚聖平)

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