大阪・関西万博まで3年 開催地の首長2人が語る意気込み

2025年大阪・関西万博の会場のイメージ(日本国際博覧会協会提供)
2025年大阪・関西万博の会場のイメージ(日本国際博覧会協会提供)

令和7(2025)年に開催される大阪・関西万博は、13日で開幕まで3年となった。「未来社会の実験場」をコンセプトにエネルギーや環境、健康・医療といったテーマを掲げる万博にどう臨むか。開催地の首長である吉村洋文大阪府知事と松井一郎大阪市長に聞いた。


新技術を後世へ 今は種まき 吉村知事

大阪府の吉村洋文知事(鳥越瑞絵撮影)
大阪府の吉村洋文知事(鳥越瑞絵撮影)

政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言した。「脱炭素」は世界共通の目標であり、気候変動への緊急対応を含む国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」が30年に達成期限を迎えることを考えれば、大阪・関西万博は重要な位置づけになる。

大阪府は令和4年度予算で、万博に向けて脱炭素化技術の開発を目指す事業者支援に5億円を計上した。現在は「種まき」の時期にあたり、万博会場で技術が「苗」となって披露されるイメージを描いている。

例えば空気中の二酸化炭素を分離してコンクリートに埋め込むといった新技術を使い、万博会場ではカーボンニュートラルを具現化した未来社会を打ち出す。会場内の移動手段として、環境に配慮した電気自動車(EV)や燃料電池バスを積極的に導入したい。

空飛ぶ車も脱炭素につながる新たなモビリティー(移動手段)だ。府や事業者などで構成する会議体は先月、万博後を見据えた工程表を策定した。万博では実際に人を乗せて淀川や大阪湾の上空を移動する社会を実現したい。その5年後には社会が受容する素地を整備した上で、大阪から京都などへ内陸移動もできるようにしたい。

脱炭素化技術は、万博で披露される「苗」が「木」に育っていく成長分野になり得る。後世に伝えるべき万博のレガシー(遺産)として、国内に技術を広げていくことが重要だ。

脱炭素を推進する上で、短期と中長期の視座を分けて考える必要がある。

短期的にはロシアによるウクライナ侵攻を受け、エネルギー価格の高騰といった影響が出ている。国民生活や経済活動が窮地に陥らないよう、安全基準を満たした国内の原子力発電所は再稼働すべきだ。

一方、中長期的には再生可能エネルギーの活用が必要だ。ロシアの侵攻を機に化石燃料への依存がいかに脆弱(ぜいじゃく)かということが明らかになった。エネルギー確保は国家の安全保障に直結する。ここは戦略的に考えなければならない。


壮大な実験場 挑戦を後押し 松井市長

大阪市の松井一郎市長(南雲都撮影)
大阪市の松井一郎市長(南雲都撮影)

新型コロナウイルス禍で多くの人々が「命」と向き合った。大阪・関西万博のメインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。長寿命化社会で充実した人生を歩み、健康機能を維持するための新たな価値を万博で生み出したい。それがレガシー(遺産)になる。

今春開学した大阪公立大に学術的な視点で大阪の感染症対策を担う「大阪国際感染症研究センター」が設置され、都市のシンクタンク機能として行政データを活用し、検証していく。

万博前年の令和6年春には、再生医療の研究・開発施設「未来医療国際拠点」が大阪・中之島エリアに誕生する。万博に向けて「健康医療の大阪」としての機運が高まりつつある。

地球温暖化防止のため、脱炭素化の取り組みを進める。万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)と主要駅を結ぶシャトルバスは電気か水素をエネルギー源とする車両を導入する方向で、市は補助制度を4年度予算で打ち出した。来場者に見える形で脱炭素の万博を提示したい。

夢洲は最先端都市「スーパーシティ」に指定されており、規制が緩和される。いわば壮大な実験場だ。パビリオンを出展する民間企業・団体には脱炭素分野においても、これまで規制によってできなかったことに挑戦してほしい。行政はそれを後押しさせてもらう。

空飛ぶ車も万博という機会がなければ、なかなか実験をスタートできなかったはずだ。万博があるからこそ、スケジュールに合わせてチャレンジしよう、という動きになっている。これが大阪で万博を開催する一番の意義ではないか。

ウクライナ危機で化石燃料価格が高騰し、エネルギー資源の安定供給にも影響が生じた。脱炭素化とエネルギーの確保が求められる中、両立を危ぶむ声も聞かれるが、化石燃料に頼らないエネルギー供給体制の構築は可能だと思っている。

いま生かすべきはわが国の省エネ技術であり、原子力発電所だ。当面は安全基準を満たした国内の原発を再稼働し、エネルギー供給の役割を一定担わせるべきだろう。

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