南アジアで政情不安 財政難、ウクライナ侵攻で物価高

経済危機に陥ったスリランカのコロンボで12日、ラジャパクサ大統領に抗議するデモの参加者ら(ロイター)
経済危機に陥ったスリランカのコロンボで12日、ラジャパクサ大統領に抗議するデモの参加者ら(ロイター)

【シンガポール=森浩】南アジアのスリランカとパキスタンが経済的苦境に直面し、政情不安が深刻化している。スリランカでは抗議デモが拡大し、パキスタンでは政権交代につながった。ともに財政難が続いていたところに、ロシアのウクライナ侵攻などが誘引する物価高が痛手となった形だ。物価上昇は世界的課題となっており、苦境に立つ国は増加しそうだ。

スリランカでは新型コロナウイルス禍による観光業への打撃や対外債務の膨張に苦しみ、輸入代金の決済や債務支払いに使う外貨準備高が減少した。輸入の停滞で物資不足が進んでいたところに食料などの高騰が押し寄せ、国民の不満が高まっている。3月の最大都市コロンボの消費者物価指数は前年同月比18・7%増と記録的な上昇となった。

スリランカ中央銀行は12日、約510億ドル(約6兆4千億円)に上る対外債務の支払いを一時的に停止すると発表。債務不履行(デフォルト)の懸念が強まっている。中央銀のウィラシンハ総裁は「債務の支払いは困難で不可能なところまで来ている」と危機感をあらわにした。

国内ではラジャパクサ大統領の政権運営に批判が強まり、与党スリランカ人民戦線(SLPP)は国会議員の大量離脱によって議会の単独過半数を失った。野党側はラジャパクサ氏への不信任決議案提出を視野に入れるなど政情の混乱は続いている。

パキスタンでは10日に不信任案可決によってカーン前首相が失職。下院は11日、後任として野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)のシャバズ・シャリフ党首を選出した。シャリフ氏は過去3度首相を務めたナワズ・シャリフ氏の実弟。

カーン氏は2018年に首相に就任したが、もともと不安定だった経済は好転せず、野党側が批判を強めていた。物価上昇も続き、3月の消費者物価指数は前年同期比で12・7%上昇した。ロイター通信によると、外貨準備は1日時点で113億ドルと1カ月で約50億ドル減少した。

ロシアのウクライナ侵攻の影響で、原油や食料の国際相場は高値水準が続いている。国連食糧農業機関(FAO)は8日、3月の世界の食料価格指数が過去最高値を更新したと発表した。食料などの高騰は途上国の経済を直撃しており、南米ペルーでも全国的な抗議デモが起きている。

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