10分で売り切れ USJオフィシャルホテルの大人気ホラールームの秘密とは

ホテル ユニバーサル ポートの謎解きホラールーム 「Chronus  運命の牢獄」おどろおどろしい雰囲気のインテリア=大阪市此花区(彦野公太朗撮影)
ホテル ユニバーサル ポートの謎解きホラールーム 「Chronus 運命の牢獄」おどろおどろしい雰囲気のインテリア=大阪市此花区(彦野公太朗撮影)

散乱する調度品、室内に飛び散った「血」-。ホテルの客室内でホラー感あふれる「謎解き」を楽しむ宿泊プランが人気という。リラックス空間であるはずのホテルで味わうスリルや緊張。一体、何が人々を引きつけているのか。発売から10分で1カ月分が売り切れるという、ホテルユニバーサルポートヴィータ(大阪市此花区)のプランに潜入した。

昨年10月から始まった同ホテルの「THE BLOOD FLOOD 血塗られた絵画(メッセージ)」。1日1室限定で販売している。

<ある日、医療センターに寄贈された絵画を見た美術学者は、理由の分からない恐怖心に襲われる。絵画に隠された幾つもの謎に挑みながら、絵のメッセージを解き明かす->

このストーリーのもと、客は美術学者になりきり、壁面や物品などに隠されたヒントを手がかりに問題を解決していく。

部屋はアトリエをイメージして改装。ドアを開けると、薄暗い客室内に「血のり」の付いたベッドカバーが浮き上がった。壁に乱雑にかかる絵画が、さらに不気味さを演出する。

スマートフォンに次々と出題される謎。室内の絵画をじっくり見てヒントを探す。室内の備品に薄い紙を敷き、鉛筆で模様などを写し取る絵画技法「フロッタージュ」を使うなどして謎の解明に挑む。

その間にも目に入る血塗られた彫刻や、どこからともなく聞こえてくる不気味な鐘の音に、思わずゾクッとさせられた。

隣接する姉妹館、ホテルユニバーサルポート(同区)でも「Chronus(クロノス) 運命(とき)の牢獄」と題した宿泊プランが販売。牢獄をイメージした部屋で不思議な魔力をもつ古時計にまつわる謎を解明していくというストーリーだ。

ホテル ユニバーサル ポートの謎解きホラールーム 「Chronus  運命の牢獄」タブレットやスマートフォンを用いた謎解きが人気だ=大阪市此花区(彦野公太朗撮影)
ホテル ユニバーサル ポートの謎解きホラールーム 「Chronus  運命の牢獄」タブレットやスマートフォンを用いた謎解きが人気だ=大阪市此花区(彦野公太朗撮影)

客室で謎解きと恐怖を味わえる両館の謎解きホラールームシリーズ。期間限定だが、毎年ホラーやミステリーファンの人気を集める。平成27年から始まり、第8弾を数えるようになった。「THE BLOOD」は今年2月までの予定だったが、好評だったことから5月末まで延長した。

利用者目線

始めたきっかけは、近隣に立地する「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」で秋に行われたハロウィーンイベント。USJのオフィシャルホテルということもあり、イベントの余韻をホテルでも味わってもらう狙いだった。当初はホラー要素のみだったり、謎解きだけだったりと変遷したが、利用者の要望を受け、謎解き、ホラー、宿泊を楽しむ形態が定着。秋だけでなく、年間を通して実施するようになった。

ホテルの担当チームは、イベント企画会社の協力を得ながら毎回構想を練る。企画内容のほか、室内や小道具のデザインなどを手がけ、一作品に約半年かける。

ホテルユニバーサルポートヴィータのレベニューマネジメント課長、地行保さん(48)は「USJのオフィシャルホテルとして娯楽は重要ポイント。部屋の装飾などについても利用者の目線でチェックをしながら毎回、企画やアイデアなどを再考している」と話す。当初は若者同士が多かったが、シリーズを重ねるごとに夫婦や家族連れなど利用層が広がっているという。

プランを利用した20代男性は「スマートフォンとホテルの部屋を使った謎解きはとても斬新」と喜ぶ。

USJ人気とともに稼働率を高めてきた両館だったが、コロナ禍で様相が一変。謎解きホラールームも対応を迫られた。これまで客室を出てホテル内すべてを謎解きに使うプランもあったが、すべて客室内で完結できるように変更。「部屋で謎解きが完結できるので時間を気にせずにマイペースで楽しめた」(40代女性)などと人気となった。

同ホテルのマーケティング課リーダー、萩野和子さん(48)は「同行者以外の人と密になることなく、安心して謎の解明に没頭してもらえる」と話す。

新サービス

他ホテルでも、コロナ禍を受けた客室稼働率アップに向けた手段として、謎解きシリーズに注力する動きが出ている。

京都ブライトンホテル(京都市上京区)は、施設内と周辺の老舗や京都御所で体験型謎解きゲームが楽しめる宿泊プラン「黒猫を追いかける白猫、白猫を追いかける君(きみ)」を開催。昨年9月から今年3月までの予定を5月末まで延長した。

突然現れたネコに朝食券を奪われて追いかけるうちに事件に巻き込まれる、という設定で、解き明かす謎はスマートフォンかタブレットに表示される。謎解きの場所はホテル外にも設定されており、参加者は京都の街並みも楽しみながら謎の解明に挑む。

同ホテルの担当者は「感染防止に努めているホテルや京都の街で、変わった体験を楽しみたいという人が増えている。そうした需要を取り込み、関西の観光を盛り上げていきたい」と話している。コロナ禍で生まれた新たなサービス。今後も定着するか注目だ。(高橋義春)

ホテルユニバーサルポートヴィータ「THE BLOOD FLOOD 血塗られた絵画(メッセージ)」(5月の予約は今月15日午前11時からホームページで)

ホテルユニバーサルポート「Chronus(クロノス) 運命(とき)の牢獄」(7月末まで。各月の第3木曜からホームページで翌月の予約)

京都ブライトンホテル「黒猫を追いかける白猫、白猫を追いかける君」(問い合わせ・予約は同ホテル=075・441・0489)。

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