露軍撤退のキーウと周辺、緊張状態なお続く

攻撃を受け、黒く焼け焦げた集合住宅の前で当時の様子を語るオクサナ・ドフェルさん。涙があふれ出た=11日、ウクライナ首都キーウ(共同)
攻撃を受け、黒く焼け焦げた集合住宅の前で当時の様子を語るオクサナ・ドフェルさん。涙があふれ出た=11日、ウクライナ首都キーウ(共同)

【ロンドン=板東和正】ウクライナの首都キーウ(キエフ)市内や近郊ではロシア軍が撤退した後も、緊張状態が続いているようだ。地雷の撤去作業などがなお続き、露軍による再攻撃への警戒も解けないためだ。

AP通信などによると、多くの民間人が殺害されたキーウ近郊ブチャでは11日時点で、捜索隊が露軍が仕掛けた地雷に注意しながら遺体の回収作業を続けている。ブチャのフェドルク市長は、犠牲になった市民の大半が「銃殺」されたとした上で、手を縛られた状態で死亡した遺体の一部が集団墓地に「薪のように捨てられていた」と話した。

ウクライナ軍の予備役の領土防衛隊に所属し、キーウ近郊の情報収集を担うアンドリー・ブッチさん(48)は11日、産経新聞の通話アプリでの取材に対し、地雷撤去などに時間がかかっているため、避難した多くの市民がブチャにまだ帰れない状態だと明かした。

露軍部隊は遺体や民家のドア、椅子などに地雷を巧妙に仕掛けており、撤去には慎重な作業が求められている。ブッチさんは「ブチャに親や親戚を残して避難した人は早く帰りたいのに戻れず、つらい思いをしている」と話した。

一方、キーウ在住の国際政治アナリスト、ボーダン・イヴァシュチェンコさん(25)によると、キーウ市内では露軍の撤退以降、交通機関が復旧に向かっており、レストランや小売店なども相次いで営業を再開している。ウクライナ西部に避難した住民がキーウに戻る例もあるという。

ただ、イヴァシュチェンコさんは「街は活気が戻ってきているが、いまだに深夜に空襲警報があり、落ち着かない」と打ち明けた。

キーウ在住の40代男性は露軍がキーウを再び攻撃してくることを警戒し、西部に避難させた妻や娘を呼び戻す予定は今のところないと話した。男性は「今日が平和でも、明日、キーウの状況は一変するかもしれない。気が休まることはない」とため息を漏らした。

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