10月で引退の小平、向上心が力の源泉

記者会見で笑みを浮かべるスピードスケート五輪金メダリストの小平奈緒=12日午後、長野市
記者会見で笑みを浮かべるスピードスケート五輪金メダリストの小平奈緒=12日午後、長野市

「体をある程度自由にできる状態でもう一度レースがしたい、地元信州でラストレースをしたいと考えていた」。小平はこの日、10月のレースを引退の舞台に選んだ理由をそう説明した。

女子1000メートルで世界記録を更新し、500メートルは国内外で37連勝。圧倒的な強さを誇ったスプリンターの力の源泉は、尽きることのない向上心だった。

高校時代は一時期、コーチの家に下宿してスケート一色の日々を送った。世界との差を感じた2014年ソチ五輪後はスケート強国オランダに単身で留学した。金メダルを手にした平昌五輪後も守りに入ることはなかった。股関節痛克服のため、シーズン中にあえて体を作り直す異例の取り組みもした。失敗を恐れず、チャレンジし続けた。

強さとともに、多くのファンの心をつかんだのはその優しさ、気配りだった。金メダルを獲得した平昌五輪500メートルのレース後。3連覇を果たせずに涙を流すライバルの李相花(韓国)を抱きしめ、慰労した。

「アスリートは応援されることが多いが、やっぱり人として誰かを応援できる人でありたい」。19年10月の台風19号で被災した長野市長沼地区にボランティアとして駆け付け、20~21年シーズンのレーシングスーツは被災地域のリンゴ農家への激励の思いを込め、リンゴをイメージした白と赤のデザインにした。

21~22年シーズンのデザインは青と白を基調にした。コロナ禍で、医療従事者の方々への感謝を示す青と、医師らがまとう白衣をイメージしたものだった。

今年の北京五輪では結果を残せず「もう一度、地元で体の痛みがない状態で滑れれば」と漏らしていた小平。感謝の思いを込め、競技生活最後のレースに臨む。(橋本謙太郎、原田成樹)

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