米、対印でクアッド結束を優先 印露離間は徐々に

11日、インドのモディ首相とのオンライン会談に出席したバイデン米大統領(左)=米ホワイトハウス(ゲッティ=共同)
11日、インドのモディ首相とのオンライン会談に出席したバイデン米大統領(左)=米ホワイトハウス(ゲッティ=共同)

【ワシントン=大内清、シンガポール=森浩】バイデン米政権は、11日に行われたインドのモディ首相とのオンライン会談や米印の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)で、ロシアをめぐる立場の違いは脇に置き、中長期的な米印関係の発展を目指す姿勢を鮮明にした。インドをロシアから引き離すことは急がず、日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」などを通じた結束強化につなげたい考えだ。

「インドはロシアと(東西冷戦期から続く)何十年にも及ぶ友好関係がある。だがそれは変わった。今は米国がパートナーだ」

ブリンケン国務長官は11日の共同記者会見でこう述べ、インドにとって米国の方がロシアよりも魅力的な存在だとアピールした。

米国ではロシアによるウクライナ侵攻後、インドが国連総会の対露非難決議を棄権したことや、露産原油の購入を続けていることに批判的な論調が広がった。

ただ、インドが購入している露産原油はエネルギー輸入全体の2%程度にとどまる。ジャイシャンカル印外相は11日の共同会見で、露産原油の輸入に関する質問に「インドの1カ月分の購入量は欧州の半日分にも及ばない」と反論した。

一方でバイデン政権はインドに対する直接的な批判を控えている。シン大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は4月初旬に訪印の際、「米国は(インドが原油の)購入を加速させるのをみたくない」とくぎを刺すにとどめた。インドへ過度な圧力をかければ、中国をにらんだクアッドの結束にひびが入りかねないとの危惧がある。

米高官は11日、「インドは中国とロシアの結びつきを懸念している、というのが米国の理解だ」と語り、対印外交は「対中」を絡めた広い観点からの取り組みが不可欠だと示唆した。

米印は同日の協議でクリーンエネルギーや先端技術、宇宙やサイバー分野での連携強化、軍需産業のサプライチェーン(供給網)の協力などを進めることで一致した。バイデン政権は協力可能な分野での関係を深めつつ、5月開催で調整中のクアッド首脳会合に向けた地ならしを進める。

インドとしても、国境付近の係争地で中国との摩擦が強まる中、対中牽制(けんせい)のために米国やクアッドとの連携は無視できない。

モディ氏はバイデン大統領との会談の冒頭、ウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの民間人殺害に関し、ロシアの名指しを避けつつ「これを非難し、公正な調査を要求した」と述べ、米国の対露批判に同調する姿勢を示した。

ただ、インドはロシアを国際社会で決定的に孤立させるのは避けたいとの思いが強い。印露の伝統的友好関係に根差す同情というよりも、孤立を深めたロシアが中国に一層の接近を図ることを懸念するためだ。

米政策研究機関、ブルッキングス研究所のタンビ・マダン研究員は「中国におもねるロシアは(インドにとり)特に問題だ」とし、ロシアの動向は中印関係に少なからぬ影響を与えると指摘した。

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