世界には現在、ユダヤ教徒が国家元首である国は2つしかない。一つはユダヤ人が人口の7割以上を占めるイスラエル。もう一つはロシアの侵略を受け、ユダヤ系のゼレンスキー大統領が国民を鼓舞し続けるウクライナである。ゼレンスキー氏はイスラエル国民を「兄弟たち」と呼び、強硬な対露制裁や優れた兵器の供与を求めているが、イスラエルは制裁には消極的で、ウクライナ支援も人道分野にとどめている。背景には、ロシアとの関係も悪化させられないというイスラエル独自の事情が垣間見える。
ゼレンスキー氏の嘆き節
ゼレンスキー氏は先月来、欧米諸国や日本などの議会でオンラインで演説して支援を求めており、3月20日にはイスラエル国会に向けて演説した。各国での演説内容はそれそれの事情に合わせた工夫が凝らされ、おおむね好意的な印象を与えているが、イスラエル国会での演説は批判色が濃く、驚きをもって受け止められた。