日本を代表する建築家黒川紀章さんの傑作として知られる集合住宅「中銀カプセルタワービル」(東京・銀座)の解体工事が12日始まった。完成から半世紀が経過し老朽化が進んでいた。
建物や都市の「新陳代謝」を提唱した黒川さんらの建築理論「メタボリズム」の象徴。箱状の住宅用「カプセル」を計140個組み合わせ、25年ごとに交換する構想だったが実現しなかった。解体工事は年内に完了予定で、カプセルの一部は宿泊施設への転用など再利用が検討されている。
この日は居室に残った家具の搬出や資材の搬入など、本格工事の準備が進められた。元所有者でつくる「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」の前田達之代表は「寂しさもあるが、取り外したカプセルがどう生かされるかを見守りたい」と話した。