<独自>防衛省、サイバー防衛でインフラ事業者支援検討

防衛省外観=東京都新宿区(川口良介撮影)
防衛省外観=東京都新宿区(川口良介撮影)

防衛省が他国などのサイバー攻撃から国内の重要インフラ事業者を守るための支援策を検討していることが12日、分かった。他省庁と連携して合同演習を実施し、インフラ事業者など社会基盤のサイバー防衛を強化する。既に与党に方向性を示しており、政府が年末までに行う国家安全保障戦略(NSS)などの改定に反映させたい考えだ。

防衛省は、国全体のサイバー防衛を統括する「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」や各重要インフラを所管する他省庁と連携し、実際のサイバー攻撃を想定した合同演習を通じ、インフラ事業者ともノウハウを共有することなどを想定している。

政府方針で重要インフラ事業者はサイバー防衛対策を自己責任で行い、政府は支援する立場とされる。NISCは情報通信や金融、電力など重要インフラに関しては大規模な訓練を年1回実施しており、昨年は14分野の事業者が参加したが、サイバー攻撃を受けた際の手続きを確認する机上訓練にとどまる。

防衛省も自衛隊に「サイバー防衛隊」を置いているが、防護対象とするのは基本的に自衛隊共通ネットワーク「防衛情報通信基盤(DII)」に限定されている。民間企業の直接的な防護はできないため、関係省庁と連携した合同訓練によって重要インフラ事業者のサイバー防衛能力の構築を促す狙いがある。

重要インフラを狙ったサイバー攻撃は米国で昨年、フロリダ州の水道管理システムがハッキングされたり、東海岸のパイプラインが身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」による攻撃で5日間の操業停止に追い込まれたりする被害があった。

国内では防衛産業がサイバー攻撃を受け、防衛装備に関わる情報が流出した。また、トヨタ自動車が仕入れ先企業へのサイバー攻撃で部品調達に支障が出て、3月1日に国内全工場で一時稼働停止した。防衛省は改定されるNSSなどで社会基盤のサイバー防衛強化を位置付け、重要インフラや防衛産業などへの防護支援態勢の構築を目指す。

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