風を読む

新聞もテレビも変わらねば 論説委員長・乾正人

ロッテの佐々木朗希投手の完全試合と連続奪三振新記録の達成を喜ぶファンの子ども=10日、ZOZOマリンスタジアム
ロッテの佐々木朗希投手の完全試合と連続奪三振新記録の達成を喜ぶファンの子ども=10日、ZOZOマリンスタジアム

自分が二十歳の時、いったい何をやっていたのだろう。わが身を顧みて、しみじみされたご同輩も多いのではなかろうか。

ロッテの佐々木朗希投手が、二十歳で前人未到の13連続三振を奪い、しかも28年ぶりの完全試合をやってのけた。

ただ、残念なことに地上波もBSも千葉の地元局もどのテレビ局も歴史的な一戦を生中継していなかった。

ネットのニュース速報で連続三振記録を知り、あわててロッテ戦の中継をやっている局をリモコンで探したものの、有料のビデオ・オン・デマンド・サービスでしか見られないのを知ってがっかりしたのは私ばかりではないだろう。

先週土曜夜のボクシング世界ミドル級王座統一戦、村田諒太対ゴロフキン戦も地上波の中継はなかった。日本代表がサッカーW杯出場を決めた一戦もそう。

前座は無料のテレビで、真打ちは有料の配信サービスで、というのは時代の流れかもしれぬが、このままでは、テレビ離れがますます進んでしまう。

新聞も偉そうに言えない。11日は休刊日で、佐々木投手の快投ぶりを紙の新聞では翌日にお伝えできなかった。

しかも最近、読者の信頼を失いかねない「事件」もあった。朝日新聞の編集委員が、週刊ダイヤモンドが行った安倍晋三元首相のインタビュー記事をめぐって「ゴーサインは私が決める」とゲラを見せるよう要求し、停職処分をくらったのだ。編集委員は、処分に強く反発しているが、彼は昨年、日本新聞協会賞を受賞したばかり。私なぞは三十数年も記者稼業をしているが、ただの一度も賞候補にすらあがったことがない。

そんな敏腕記者の彼ですら、「政治家と一体化」していたわけだから、朝日の記者はみんな「反アベ」だ、と思い込んでいた朝日読者の衝撃はいかばかりだろう。

確かに、取材先の懐に飛び込まねば、特ダネどころか普段の取材にも後れをとる。海千山千の政治家相手となると、なおさらだ。

だが、ミイラ取りがミイラになっては元も子もない。取材先と一線を画しつつ、スクープを読者に提供するのはどうすればいいか。答えを出すのは容易ではない。

鶴瓶師匠は、民放テレビ配信サービスのCMでこうつぶやく。

「変わらんとアカン時やねん」

テレビも、もちろん新聞も。

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