【ワシントン=渡辺浩生】ロシアが大規模攻撃の準備を進めるウクライナ東部ドンバス地域をめぐる攻防は、今回の戦争の勝敗を決する主戦場となる見通しだ。首都キーウ(キエフ)周辺から撤退した露軍は兵員・装備を補充して戦力を集中する構え。ウクライナ側はゲリラ戦法からより重装備の本格的地上戦を強いられる。バイデン米政権は数カ月以上の長期戦を予想しており、ウクライナにとっては欧米の兵器供与の強化がカギとなりそうだ。
ドネツク州とルガンスク州を含むドンバス地域は2014年に露軍を後ろ盾とした親露派武装勢力が反乱を起こし、一部地域の実効支配を続ける。2月にはプーチン露政権が「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」(ともに自称)の「独立」を承認してウクライナ侵攻の口火となった。
キーウ制圧という初期目標をウクライナ側の反撃と、自らの戦術ミスにより完全撤退を余儀なくされたプーチン政権は、ドンバス地域の完全制覇を次なる目標に切り替えた。ロシアは予備役など6万人の徴募を計画しており、兵力の補充を拡大する見通しだ。