地元山形で不戦敗なら…「針のむしろ」の自民選対委員長

自民党山形県連の会合であいさつする遠藤利明選対委員長=9日午後、山形市
自民党山形県連の会合であいさつする遠藤利明選対委員長=9日午後、山形市

自民党の遠藤利明選対委員長が夏の参院選への対応で厳しい立場に置かれている。遠藤氏の地元、山形選挙区で自民が独自候補の擁立見送りを調整していることに対し、党内で反発が高まっているためだ。仮に選挙実務の責任者である遠藤氏のお膝元で自民の「不戦敗」が確定すれば、選挙戦を前に、遠藤氏の求心力低下を招きかねない。

「負けても出せ。不戦敗はあり得ない」

「自民の政策を訴える機会もなくなる」

9日、山形市内で開かれた山形県連の会合は、怒号も飛び交う展開となった。

遠藤氏は、山形選挙区での昨年来の独自候補の擁立作業に関し、令和4年度予算に賛成した国民民主党との間で政策協議をしているなどとして「国全体の動きを見ながら最終的な決定をしたい」と述べた。遠藤氏は国民民主への「配慮」から擁立見送りを示唆した形だ。だが、ほとんどの出席者が主戦論を唱え「ここまで来た以上は県連会長の遠藤氏が参院選に出ろ」との意見も飛び出した。

参院選の勝敗を分けるとされる32の「1人区」のうち、自民が擁立を決めてないのは事実上、山形のみだ。党重鎮は11日、「1人区で出さないなんて常識からいってあり得ない」とあきれた。また、党内からは「選対委員長が全国の候補者にハッパをかけても、逆に『あんたのところがしっかりしろ』といわれる」(幹部)など、党本部と地方組織との結束を危惧する声も出ている。別の党重鎮は、国民民主と自民が競合する他の1人区を念頭に「国民民主と戦う他のところとの整合性をどうするのか」と首をかしげる。

一方、自民側から配慮された格好の国民民主も「違和感」を隠さない。3選を目指す国民民主の舟山康江筆頭副代表は6年前の参院選で自民候補を約12万票差で下し、圧倒的な強さを誇る。その舟山氏は自民の候補者擁立見送り調整について11日、産経新聞の取材に対し、「予算には政策実現の手段として賛成はしたが、あくまでも政権に対峙(たいじ)する野党の立場で国会論戦にも臨んでいる。『配慮』といわれるのは若干、違和感がある」と語った。

9日の山形県連会合後、遠藤氏は茂木敏充幹事長に「候補者擁立に向けた調整をさらに進めていきたい」と語ったが、活路は見いだせていないのが実態だ。

山形では共産党の新人、石川渉氏も立候補を表明している。

(原川貴郎、奥原慎平)

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