入国上限緩和も、ビジネス往来なお慎重

海外から羽田空港に到着した人たち=11日午後、羽田空港第3ターミナル(三尾郁恵撮影)
海外から羽田空港に到着した人たち=11日午後、羽田空港第3ターミナル(三尾郁恵撮影)

政府は10日、新型コロナウイルス対策の水際措置を緩和し、1日当たりの入国者数の上限を7千人から1万人に引き上げた。経済界からは、今回の入国制限緩和措置を歓迎する声が目立つ。「鎖国」とも呼ばれる日本の厳しい制限が、海外との商談や外国人の雇用による人手不足解消を妨げてきたからだ。もっとも、感染リスクなどを考えるとビジネス往来の完全再開に踏み切りにくいのも事実で、多くの企業は慎重姿勢を崩していない。

「海外人材との交流をもう少しリアルで図りたいと思っていたので非常にありがたい」

旭化成の工藤幸四郎社長は11日の経営説明会で制限緩和をそう歓迎した。工藤氏によると、買収した米国企業などの社員が「かなり多く(出張で)日本に来たがっている」といい、緩和は海外拠点との意思疎通を図る上でプラスに働きそうだ。工藤氏は日本から海外への出張についても、相手国の状況などを見極めながら「そろそろスタートしたい」と話した。

ただ、出張を絞り込んでいる現状を大幅に変える予定はないという。出張を原則禁止したままの企業も多く、緩和で状況が一変する可能性は低そうだ。ある大手商社幹部は「3月の一部緩和を受けて出張を増やしたら感染者が出てしまった」と言う。また、「制限が残る以上(完全解禁は)難しい」と予想する。

緩和されたとはいえ、空港での抗原検査をはじめ、手続きや手間の点でも足かせが残る。経団連の十倉雅和会長は緩和を評価しながらも、「空港検疫などの合理化、効率化を図り、入国者数の撤廃に向かってほしい」と、より踏み込んだ対応を求めている。(井田通人)

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