【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が2012年に党トップに就任してから11日で10年となった。正恩氏はこの10年間、米中露といった大国の首脳との会談を実現させた一方、日米韓を狙った核・ミサイル開発を加速させた。だが、10年前に誓ったはずの経済難の解決はいまだ成し遂げられず、正恩氏が権威のよりどころとして核兵器開発に一層固執する可能性がある。
正恩氏は父、金正日(ジョンイル)総書記の11年12月の死去を受け、12年4月11日に党第1書記、その2日後に国家機構トップの国防第1委員長に推挙され、名実ともに最高指導者に就任した。
今月10日には、平壌で就任10年を祝う中央報告大会が開かれ、崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長が「(正恩氏が)国家核戦力完成という歴史的大業をついに実現した」とたたえた。壇上には正恩氏1人の巨大な肖像画が掲げられ、正恩氏の権威の高まりを印象づけた。