帰還の一歩、桜とともに 福島・富岡で準備宿泊開始

日没後も夜桜を楽しむ人が訪れている夜の森。桜のトンネルを抜けられるのは12年ぶりになる=11日、福島県富岡町(芹沢伸生撮影)
日没後も夜桜を楽しむ人が訪れている夜の森。桜のトンネルを抜けられるのは12年ぶりになる=11日、福島県富岡町(芹沢伸生撮影)

東日本大震災の発生から11年1カ月となった11日、福島県富岡町では来春の避難指示解除を目指す特定復興再生拠点区域(復興拠点)で、長期滞在が可能な準備宿泊が始まった。

復興拠点は桜の名所として知られる夜の森地区を中心とした約390ヘクタールで、住民票があるのは、1167世帯2681人(1日現在)。このうち5世帯7人が、この日からの準備宿泊を事前申請していた。

夜の森の桜並木近くに自宅があり現在、郡山市に住む小野耕一さん(74)は、帰還を予定している家で掃除に汗を流した。この日の宿泊は給湯器の不具合で断念した小野さんだったが「住めるようになったらすぐに泊まりたい。生まれたときからいて、ここで結婚して子供が生まれて…。わが古里だから」と声を弾ませた。

楢葉町にある草木染の工房で代表を務める小野さんは、工房も移設し自宅で仕事できる環境を整えたいという。妻、繁子さん(75)と真っ先に戻ることで、近所の知り合いが帰還するきっかけになれれば、とも考えている。

この日は夜の森の桜が満開に。小野さんは「今年はきれい。桜も(準備宿泊開始を)喜んでいるのでは」と笑顔を浮かべた。夜の森地区では1月に復興拠点の立ち入り規制が緩和されたのを受け、12年ぶりに全長2・2キロの桜並木が通行可能になった。10日までの予定だった桜並木のライトアップは、満開の時期が遅れたため13日まで延長された。

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