ウクライナGDP45%減 22年世銀見通し ロシアもマイナス11%

米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部(共同)
米首都ワシントンにある世界銀行グループの本部(共同)

【ワシントン=塩原永久】世界銀行は10日発表した欧州や中央アジアの新興国経済見通しで、2022年のウクライナの実質国内総生産(GDP)が前年比マイナス45・1%になる見通しだと発表した。ロシアによる侵略で経済活動が停滞しているためだ。戦争の展開次第で、さらなる下落もあり得るとしている。

ウクライナは21年のプラス3・4%から劇的に落ち込む見通しだ。戦争で幅広い地域の企業活動が停止したことに加え、戦闘が激化する黒海沿岸を経由した農産品などの貿易が困難になっていることが響く。

同国ではインフラの被害も甚大で、国際社会による支援強化の必要性を訴える声が強まりそうだ。

一方、世銀は22年のロシアのGDPをマイナス11・2%と予想した。米欧などの経済・金融制裁を受けて輸出が激減し、深刻な不況に陥る。21年はプラス4・7%だった。

ロシアに関し、世界の主要金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は、22年にマイナス15%の見通しを示していた。

ロシアからの原油や天然ガス輸出が縮小し、エネルギー価格が上昇している。同国とウクライナは大規模な穀倉地帯を擁し、食料価格の上昇も招いている。世銀は戦争が「世界で物価上昇を激化させるだろう」と分析している。

ロシアによる侵攻を支援したベラルーシも制裁を受け、21年のプラス2・3%から、22年にマイナス6・5%に転じる見通しだ。

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