100円稼ぐのに経費2万5千円以上 JR西日本赤字路線

厳しい経営環境が続くJR西日本は11日、ローカル線の一部赤字区間の収支状況の公表に踏み切った。従来は都市部などの利益で不採算路線をまかなってきたが、新型コロナウイルス禍で状況は一変。2期連続の最終赤字になる見通しで、すでに大幅な減便や、都市部での運賃値上げを決めている。JR西は「何も前提を置いていない」とするが、廃線を含めた各地域との議論が、今後一気に加速する見通しだ。

JR西の担当者は11日、収支状況を公表したことについて「各区間の実態や課題を共有することで、より具体的な議論をさせていただきたい」と説明。バスやタクシーに比べて需要に応えられていないと認め、「大量輸送という鉄道の特性が十分に発揮できていない」と述べた。

公表された各区間の経費に対する運賃収入の割合である「収支率」は、100%以上だと利益が出ていることになるが、公表区間では一桁となっている区間も少なくない。鉄道の運行には、人件費だけでなく、駅や車両の維持に大きなコストがかかるためで、平成29~令和元年度平均で0・4%と最も収支率が低かった芸備線の東城-備後落合は、100円の収入を得るために2万5千円以上の経費がかかっている計算だ。

自治体と共同で利用促進策などが検討されているが、多くの区間が「今の利用状況だと収支率を100%にするのは難しい」(JR西担当者)のが実態だ。

これまでローカル線の維持は、都市部や新幹線の稼ぎでまかなってきたが、コロナで全社的に利用が急減。JR西の令和4年3月期連結決算の最終損益は、最大で1165億円の赤字になる見通しだ。このため3月中旬のダイヤ改正では、1日あたり500本以上の減便や区間変更を実施。さらに令和5年4月には計99区間の普通運賃や通勤定期運賃を見直し、普通運賃の値上げ幅は10~40円となる。

それでもコロナ前から赤字のローカル線の見直しは避けられない状況で、JR西側はバスやタクシー、LRT(次世代型路面電車)などを含めた代替の交通手段を模索。自治体が資産を保有して民間事業者が運営する「上下分離方式」の導入も視野に入れる。

ただ、広島県の湯崎英彦知事が「一部のローカル線の収支のみを問題視することは、地方切り捨てに直結する」と述べるなど、すでに一部自治体側の反発も起きている。JR西は11日の報道陣への説明で「廃線」という言葉を使うことを避けたが、自治体側が鋭く反発することは必至。今後の交渉がスムーズにいくかは不透明な情勢だ。(岡本祐大)

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