人類が開発した道具や技術の多くは、身体の機能を向上させるために生み出されたものだ。新たなテクノロジーの登場で、人間や社会の姿が大きく変わろうとしている。
「進化」促す第三の腕
京都府精華町にある民間の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)。パソコンと向き合う研究員の左脇から、人の手にそっくりのロボットアームが伸びている。これを脳波で動かす実験を行ったところ、両手で別の作業をしたまま、念じるだけでアームを動かし、差し出されたペットボトルをつかむことができた。「第三の腕」の誕生だ。
身体の運動は手や足などの場所ごとに、脳によって制御されている。第三の腕は本来は存在しないため、脳が対応できないようにも思えるが、「ペットボトルをつかむ」という意図を検出する新技術によって、約半数の人は自分の腕のように動かすことができた。