主張

備蓄石油の放出 さらなる国際協調目指せ

ロシアのウクライナ侵略で世界のエネルギー価格が高騰している事態を受け、日本は国際エネルギー機関(IEA)加盟国と協調して備蓄石油を1500万バレル追加放出することを決めた。

IEA全体で1・2億バレルを協調放出し、米国が半分の6000万バレルを受け持つ。日本の放出量は米国に次ぐ規模となる。

世界各国は3月にも協調放出したが、大規模な放出を継続して石油価格の抑制を目指す。

IEAの協調放出とは別に米国は、1・8億バレルの放出を決めている。この中には協調放出分も含まれており、合計で2・4億バレルが市場に供給される。史上最大の備蓄石油の放出となる。

ただ、世界各国は昨年11月から協調放出を進めているが、その効果は限定的だ。国際協調を強めるために産油国にも積極的な増産を促し、価格抑制の実効性を高めることが重要だ。

IEAの協調放出は、今年3月に続く実施となる。ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する経済制裁が強化され、エネルギー資源の供給不足への懸念から市場価格は上昇基調を示している。大規模な協調放出を継続し、思惑先行の値上がりに歯止めをかけたい。

米国では国際的な石油価格の上昇で国内のガソリン価格も大きく値上がりしており、バイデン米大統領は危機感を募らせている。このため、米国は単独でも大規模な放出に踏み切り、価格抑制効果を高める構えだ。さらなる追加放出も検討するという。

一方、国家備蓄から1500万バレルを放出することを新たに決めた日本は、3月の750万バレルから倍増となる。

IEAの協調放出で国家備蓄を活用するのは初めてだ。備蓄石油を機動的に放出することで、自然災害時の緊急対応などの迅速化にもつなげる必要がある。

だが、日本の放出量は国内消費の8日分程度にすぎず、一時的な価格抑制効果しか見込めない。欧米ではロシア産資源の輸入を禁止する動きが広がっており、今後も供給不足への懸念が払拭されなければ、石油価格の上昇に歯止めがかからない恐れがある。

このため、石油輸出国機構(OPEC)の増産が不可欠だ。OPECは4月も現在の増産ペースを続ける方針だが、欧米と連携してさらなる増産を働きかけたい。

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