主張

ヤングケアラー 周囲の連携で負担軽減を

子供が学校で勉強したり、友達と思い切り遊んだりする機会が、家族の看護や介護のために失われるようなことがあってはいけない。

周囲の大人がこうした実態に気付くことが先決だ。自治体や地域の福祉関係者らと連携すれば、子供の負担軽減は可能であるからだ。

大人に代わって日常的に家事や家族の世話をする「ヤングケアラー」に関する厚生労働省の調査で、小学6年生の約15人に1人が「世話をしている家族がいる」と回答した。

知的障害のある弟や妹の世話をしていたり、精神疾患のある母親に代わって家事をしていたりする姿が浮かび上がる。親の第一言語が日本語でないケースも一定数に上る。受診の際に通訳として付き添うこともあるのだろう。

世話をする頻度が「ほぼ毎日」との回答は半数を超える。1日当たりでは「7時間以上」世話をする子供もいる。「友人と遊べない」「宿題の時間が取れない」などの回答もあった。

深刻なのは、子供自身がこうした境遇に置かれている問題点を自覚しにくいことだ。まずは、子供が通学する学校の担任や養護教諭、近隣住民などがアンテナを高くすることで、家族のケアをしている子供の存在に気付きたい。

一般的に家庭内の問題に対して口出ししにくい。だが、「学校に行けない」「睡眠が十分に取れない」となると、「お手伝い」の範囲を超えているのは明らかだ。児童虐待にもつながるとの共通認識が必要だ。

負担軽減の方策は、必要なケアの状況、家族構成、所得などによっても異なる。自治体は、医療や介護、障害、ひとり親支援などで縦割りになっているサービスを組み合わせて、家庭にとっての最善策を提案し、子供の負担を軽減しなければいけない。

同じ調査で大学3年生では約16人に1人が「世話をしている家族がいる」と答えた。中にはケアの必要から進路の変更を余儀なくされている人もいた。6割超が相談経験がなく、うち3割が「相談しても状況が変わるとは思わない」と答えているのは胸が痛む。

ケアの必要な家族がいたとしても、自身の夢をあきらめさせてはいけない。周囲は当事者の気持ちを丁寧に聞き、将来への道筋をともに描くことが必要である。

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