花田紀凱の週刊誌ウォッチング

(868)分厚いウクライナ報道続けてほしい

ウクライナ南東部マリウポリのロシア兵=1日(タス=共同)
ウクライナ南東部マリウポリのロシア兵=1日(タス=共同)

<近年稀に見る戦争犯罪、人道的配慮の欠片(かけら)もない悪逆無道、世紀の蛮行。いくら言葉を重ねても足りない暴虐を、ロシア軍はキーウ周辺で繰り返していたのである〉

『週刊新潮』(4月14日号)のトップ「プーチンが量産『性暴力』『大虐殺』の地獄絵図」の一節だが、編集部の怒りが伝わってくるようだ。

冒頭、飼い犬と夫をロシア兵に撃ち殺され、陵辱され、4歳の息子とともに必死に脱出した33歳の女性の話は読むのが辛い。

ロシア兵というのは1945年、中立条約を一方的に破って満州に侵攻してきたときと、何ひとつ変わっていないではないか。

連日のテレビ報道でブチャの虐殺や徹底破壊されたマリウポリの惨状などを見ると暗澹(あんたん)たる思いだ。

『週刊文春』(4月14日号)はトップが「プーチン2022年秋の失脚」。

〈あの男が権力の椅子から引きずり下ろされる瞬間は、刻一刻と近付いている〉〈〝プーチンの戦争〟は行き詰まりつつある〉

経済的に行き詰まりクーデターの可能性というが、「秋」という確たる根拠は示されていない。しかも「秋」なら、まだ半年も先だ。

『ニューズウィーク日本版』(4・12)の大特集(表紙も)はBTS。

3・1号から5週続けてのウクライナ大特集(表紙も)で、さすがに目先を変えようと思ったのだろうが、そんな必要は全くない。こういう時こそNW誌の出番、徹底的に、分厚くウクライナ報道を続けてほしい。

「これ以上は負けられないロシアの次の一手」3ページの取材力はさすが。

かつてウクライナの国家安全保障・国防会議のメンバーだったアレクサンドル・ハーラ氏の分析。

〈ロシアの国際的孤立は深まるばかり――なのだが、中国とインドはまだロシアの肩を持っている。この両国の「支持」がある限り、プーチンは今回の計算違いの軍事侵攻をやめないだろう(中略)「プーチンはいずれ全力でキーウを攻略しに来る」〉

秋までクーデターを待つしかないのか。

(月刊『Hanada』編集長)

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