川村妙慶の人生相談

コロナ禍で変わった自慢の息子

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

50代女性。中高一貫校に通い、高校3年になる息子がいます。幼い頃から伸び伸びとした、優しい性格の子でした。

ところがコロナ禍でオンライン授業になってから、勉強に集中できず、楽な方にと流れるようになりました。成績もガタンと落ちました。何度言っても食事の際、左手を使わず、茶碗(ちゃわん)に米粒が残る始末です。

夫も私も愛情をかけて息子を育ててきました。これまで私が英語などを教えていましたが、息子はため息を漏らし、居眠りもします。家族のために懸命に働く夫への感謝の気持ちも感じられないのです。これでは家族がダメになります。息子にはコツコツと努力し、自分が学べる環境に感謝し、将来は社会に少しでも貢献できる人間になってほしいのです。私はどうすればいいでしょうか。

回答

ようこそおたずねくださいました。相談文からあなたの愛情の深さが伝わります。しかし否定的に叱ると、お互いイライラすることにもなり、逆効果になるでしょう。

息子さんの立場で考えてみませんか? 例えば、あなたが時間と心に余裕がなく、イライラしていたとします。そんなときに誰かの小言を聞くと、「今は黙ってて」と反発してしまうかもしれません。今の息子さんは思春期とコロナ禍が重なって普段以上に余裕がないのではないでしょうか。

気を付けるのは、正論を押し付けないことです。親としては息子さんの態度を指摘したくなるでしょう。息子さんの心は薄いガラスの状態です。正論だけ言うと、抗議の言葉でしか受け取れず、傷つくことしかできません。同時に親への不信感が募ってしまうのではないでしょうか。それでもあなたがイライラしたら、「待てよ、この言葉を言うと、ナイフのように刺してしまうかも」と言い聞かせてください。

蓮如上人は「自損損他(じそんそんた)のとが、のがれがたく候う。あさまし、あさまし」とおっしゃいました。自らを損(そこ)なうと、他人をも損なっていく、つまりお互いが傷ついていく。一生懸命に子育てをしているつもりが子供も苦しめ、そのことで自分も苦しむ。常に「優しい子」でいなければ-と「評価」におびえて生きるほうへ息子さんを追いつめてしまうのです。息子さんはコロナ禍で無意識のうちに張り詰めた糸が、切れかかっているのかもしれません。

どんなことでもいいのです。愚痴を聞いてあげてください。「悔しいね。そうだったの」と共感し、「どんなことがあってもあなたを大切にするからね。安心してね」と声をかけてください。言葉から得た安心感が底力となり、彼は希望をもって勉強できるのではないでしょうか。

回答者

川村妙慶 僧侶兼アナウンサー。昭和39年生まれ。ラジオのパーソナリティーとして活動するほか、ブログで法話を日替わり更新中。著書に、「泥の中から咲く 身と心をほぐす18の知恵」(NHK出版)や、「人生後半こう生きなはれ」(講談社+α新書)などがある。

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