9日に行われたボクシングのミドル級王座統一戦で、世界ボクシング協会(WBA)スーパー王者の村田諒太(帝拳)は、国際ボクシング連盟(IBF)王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に9回2分11秒、TKOで敗れた。
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9回、相手に徐々に押されてきた村田の顔面を、ゴロフキンの強烈な右がとらえた。リングに崩れ落ちたところで陣営からタオルが投げ込まれ、レフェリーが試合を止めた。「対応力、うまさが、僕よりも一枚も二枚も上だった。強い選手とやってきた経験の差が出たのかな」。善戦した36歳はかぶとを脱いだ。
序盤から接近戦を仕掛けてプレッシャーをかける作戦は奏功したかに見えた。2回と3回は強烈なボディー打ちでゴロフキンを後退させ、ジャッジも村田を支持した。だが4回以降は強烈な左ジャブを押し込んでくるゴロフキンにパンチをまとめられるシーンが相次いだ。
序盤は「ガードで何とかなる」と踏んでいた村田だが、ゴロフキンは巧みに角度を変えてガードを打ち抜き、ダメージは徐々に蓄積されていった。一方で武器の右ストレートは相手に巧みにいなされ、なかなかヒットしない。「強く当たる距離で(パンチを)もらってくれない。打たれ強いといわれるゆえんなのかな」。粘り強く闘った村田だが、最後まで形勢を逆転できなかった。
試合後は健闘をたたえる大きな拍手が鳴りやまなかった。「お客さんが帰らずにいてくださり、拍手をいただけた。その事実に対し、ほんの少し、評価してあげてもいいかな」。世界的に選手層が厚いミドル級で12年ロンドン五輪を制し、プロでも世界の頂点に立った。今後に関しては、まだ試合内容を客観的に評価できないとして多くを語らなかった。(奥村信哉)