水星には大量のダイヤモンドが存在するかもしれない:研究結果

キャノンの研究は、水星の地殻の上部12マイル(約19km)で数十億年にわたって頻繁に起きた衝撃の影響をモデル化している。黒鉛の層はおよそ300フィート(約90m)以上の厚さで、隕石が衝突した際に発生した圧力によって30%〜60%の黒鉛が、キャノンが言うところの「ショック・ダイヤモンド(衝撃によって生成されたダイヤモンド)」に変わったとされる。

つまり、水星にはたくさんの宝石が埋まっているのだ。およそ1京4,515兆トンの宝石が眠っているとキャノンは推測しているが、おそらく極小で、散在しており、黒鉛の中に埋もれている可能性が高いという。

この結論は、ほかの研究結果によっても裏付けられている。例えば、スーダン北部に位置するヌビア砂漠に落ちた「アルマハータ・シッタ」という隕石の破片には、小さなダイヤモンドがいくつか含まれていた。

そして11年から15年まで水星を探査した米航空宇宙局(NASA)の探査機「メッセンジャー」によって撮影された水星の表面の画像に、黒い斑点が写っていることがブラウン大学で研究する惑星科学者のローラ・ラークによって確認されている。これらの画像から作成されたフォルスカラーマップには、黒鉛と思われる古い「低反射物質」が広がるエリアが写されている。

「水星の外層の天然試料として、画像に写された大きな盆地を用いています」と、ラークは説明する。ラークには横幅450マイル(約720km)のレンブラント盆地など、さまざまな盆地を研究してきた実績がある(ここでいう盆地は大きなクレーターのことを指す)。「わたしたちはこの盆地にある低反射物質が黒鉛による黒ずみだと予想しています。もしこれが事実だとすると、画像に写った層は分厚く、マグマの海に比べて炭素が多いことを意味しています」と、ラークは語る。

つまり、水星は元から炭素が豊富だった可能性があると、ラークは主張する。彼女は同僚と共同で取り組んだ最新の研究成果を、今回のLPSCで発表している。

採掘は現実的ではない?

水星が形成されたときに結合した元素は、主に金属や岩だった。沈んだ金属によって惑星の核を最終的につくり出し、岩はその上で固まっている。ほとんどの惑星では炭素はマントルの上にある金属コアの一部になる。

しかし水星の場合、多くの炭素が惑星の内側ではなく地殻に埋め込まれた状態で止まっていると、ラークは説明する。これに対して地球の場合は、ダイヤモンドは地中の奥深くで強い圧力を受けた炭素からしか生まれない。

水星の温度やそこまでの移動手段の問題は別として、ダイヤモンドの材料となる大量の炭素があったとしても、宇宙採掘者がすぐにこの星に向かうことはおそらくないだろう。「黒鉛やほかの不純物が混ざっていて、質の高いダイヤモンドは採掘できないと思います。磨いても指輪に付けられるような美しい結晶は手に入らないでしょうね」と、キャノンは語る。

水星に衝突した隕石の研究が進むことで、なぜこの星が小さいにもかかわらず異常な大きさの核をもっているのか、という謎がまたひとつ究明されるかもしれない。

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