「総合知で世界と肩並べたい」 大阪公立大学長が語る成長戦略

大阪公立大の初代学長に就任した辰巳砂昌弘氏(前川純一郎撮影)
大阪公立大の初代学長に就任した辰巳砂昌弘氏(前川純一郎撮影)

大阪市立大と大阪府立大を統合し、今月1日に開学した大阪公立大は11日、開学式典と入学式を行う。あらゆる学問の知見を生かす「総合知」を打ち出し、学生数は公立大学で全国最大規模の約1万6千人。初代学長に就任した辰巳砂(たつみさご)昌弘氏(66)は産経新聞のインタビューで「文化の違う大学が一つになったことにポテンシャルがある。人も組織も変化するときに進歩する」と語った。

《総合知で、超えていく大学。》。大阪公立大のキャッチコピーだ。

辰巳砂氏は「今までは技術が先行し、研究者は本当に幸せにつながるかを考えてこなかったのではないか。これからは技術や知見を総合的に活用し、世界規模で持続可能な社会を支えることが重要だ」と強調した。その上で「多様な価値観で存在を認め合い、困難な課題に挑戦する人を育てたい」と意気込む。

1学域と11学部、大学院を備える新大学は人文・社会・自然科学の研究を融合し、社会課題の解決に貢献することを目指す。辰巳砂氏は統合による強みを「2つの大学が相補的に1つになり、どんな社会課題にも提言できるような研究者がいること」と語る。

「総合知」の象徴ともいえるのが、学内に設置された「大阪国際感染症研究センター」だ。関西で唯一、医学部と獣医学部を併設する強みを生かし、人獣共通の感染症に関する研究を進める。

「個人と社会を包括した研究と、それに基づく対策が必要だ。医学と獣医学だけでなく農学や経済学、法学などあらゆる分野が絡まなければ、真の課題解決は望めない」

研究者育成のため、学生を複数の研究室に通わせ、専門分野を俯瞰(ふかん)する力を身につけさせるプログラムも用意。学生を経済的に支援し、研究に専念できる環境を提供する。辰巳砂氏は「優秀な若手研究者を確保し、自治体と連携することで、企業との共同研究が促進される好循環を生み出したい。産官学による共創だ」と期待を込める。

産官学の連携拠点の一つとして、令和7年度には、大阪城東側に森之宮キャンパス(大阪市城東区)を開設予定。先端技術を活用して生活の質を向上させる「スマートシティー」を、まずはキャンパスで実現する青写真を描く。

大学院に新設した情報学研究科を中心に学内でデータを集めて分析し、研究や教育に生かす計画で「森之宮キャンパスにデータ管理の拠点を整備し、医療や介護などの分野で企業の課題を解決するための解析ができればいい」という。

「大阪で知の拠点を目指すと同時に、世界トップレベルの大学と肩を並べるようになりたい」と辰巳砂氏。それには「Osaka Metropolitan University」の知名度向上が不可欠だ。

「大阪周辺ではある程度知られているが、関東では浸透していない。ましてや国外では知名度ゼロ。国際会議などを通じ、大学名を周知する必要がある。大学関係者全員が広報だ」(吉国在)

たつみさご・まさひろ 昭和30年生まれ。大阪大卒業後、同大学院工学研究科博士前期課程修了。工学博士。米パデュー大、アリゾナ州立大の博士研究員などを経て、平成8年に大阪府立大教授、27年に同大学院工学研究科長。公立大学法人大阪が設立された31年4月に府立大学長に就任し、令和4年4月から現職。専門は無機材料化学、ガラス科学など。

会員限定記事会員サービス詳細