ロシアのウクライナ侵攻を受け、台湾海峡有事への影響や軍事的な「教訓」について日米中台の専門家から分析が出始めている。戦力で圧倒するとされながら短期決戦での勝利を得られなかった露軍の失敗から、軍事的には中国による台湾侵攻のハードルは上がったとの見方が有力だ。ただ、多岐にわたる論点の中には、核兵器の威嚇効果や政治指導者の「誤算」を懸念する声もある。
「台湾危機の予行演習」
中国人民大国際関係学院の金燦栄教授は、2日付の中国ネットメディア「観察者網」の取材に「現在のウクライナ問題は台湾海峡危機の予行演習だ」とした上で、「とても良い機会で、中国は軍事的にどう戦うかなど多くを学ぶことができる」と語った。だが、一般的には、米民主主義防衛財団のクレイグ・シングルトン上級研究員が米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)の3月4日付で論じたように「プーチン(露大統領)の戦争は習(近平中国国家主席)の最悪の悪夢」との見方が主流のようだ。