編集者のおすすめ

『ビジュアル図鑑 中世ヨーロッパ』 イラストで読み解く異世界

『ビジュアル図鑑 中世ヨーロッパ』
『ビジュアル図鑑 中世ヨーロッパ』

『ビジュアル図鑑 中世ヨーロッパ』新星出版社編集部編(新星出版社・2750円)

中世ヨーロッパを舞台に、数えきれないほど多くの伝説や創作が生まれています。ライトノベルやゲームなどで、なじみのある人も多いのではないでしょうか。

本書は、農村や都市での人々の生活から、国王や領主の暮らし、ファンタジー作品に登場する怪物まで、中世ヨーロッパにまつわるあれこれをイラストと写真で解説しています。

たとえば、メリュジーヌ。ヨーロッパで名の知れた妖精ですが、こんな伝説があります。舞台はフランス中部のリュジニャン城。領主レーモンの妻、メリュジーヌは、土曜日だけ下半身が蛇の姿になるという呪いをかけられていました。「土曜日は姿を見ないでください」と約束してレーモンと結婚。10人の子供を成し、幸せに暮らしていましたが、ある土曜日、夫は沐浴(もくよく)中の妻の姿をのぞき見てしまいます。蛇の姿を見られたメリュジーヌはドラゴンへと姿を変え、城から飛び去ってしまいました。

異民族の侵入、飢饉(ききん)、ペストの大流行など何度も大きな危機にさらされ、いつ破滅が訪れるかわからない不安定な社会において、中世ヨーロッパの人々はキリスト教に魂の安らぎを求めました。暗黒と呼ばれるにふさわしい時代だからこそ、死と隣り合わせた人々は神話・伝承を語り継ぎ、独特な文化を形成していったのでしょうか。不安な時代だからこそ物語を紡ぐのは私たちの運命なのかもしれません。あなたも空想世界をのぞいてみませんか。

(新星出版社編集部 神前梨理子)

会員限定記事会員サービス詳細