記者発

瑶子さまの飾らないお言葉 社会部・緒方優子

「わたくしは、皇族の中であまりメジャーなタイプではないので…」

三笠宮家の瑶子さまの飾らないお言葉に、どこかで触れたような懐かしさと、親しみやすさを感じた。

先月、埼玉県入間市で行われたヒアリングフレイル(聴覚機能の衰え)に関する講演会。関係するNPO法人の名誉総裁として臨席された瑶子さまは、お言葉の冒頭、会場を見渡すと、「皆さまのご年齢でしたら、『ヒゲの殿下』(寬仁親王)と言ったらお分かりになるかもしれませんが、その2番目の娘です」と自己紹介。テーマに沿った自然な流れの中で、ご自身の難聴の症状を明かされた。

20代の頃から、低い音や高い音の一部が聞き取れない「感音性難聴」のご症状があること。近くで警護に当たる護衛官と会話をされる際にもかみ合わず、「まあいいや」と意思疎通をあきらめてしまう場面があること。皇族として人の話に耳を傾けられることが多い立場で、「『もう一度言っていただけますか』というのはなかなか言いづらい。こういうことを言っていらっしゃるんだろうな、と想像しながらお話を伺っているというのが実際でした」。

淡々と、それでいてドキッとするような率直さを持って紡ぎ出される言葉の一つ一つに、少しずつ会場全体が引き込まれていくように感じた。

実際に、シンプルなグレーのパンツスーツ姿の瑶子さまが関係者とともに会場のホールに入られた際、客席ではそのお姿に気づいていない人も多かった。それでも、10分ほどのスピーチを終えて壇上を後にされる際、会場は大きく、温かな拍手に包まれていた。「自分の体験を語ることで、聞いている人にも親近感を持って耳の問題を考えていただけるのではないか」。終了後、瑶子さまはお言葉に込めた思いについて、関係者にこう打ち明けられたという。

平成24年に薨去(こうきょ)した寬仁親王は、ざっくばらんな人柄と語り口で皇室と国民の距離を縮めた。長年、心血を注いだ障害者福祉の活動の一部は、瑶子さまが引き継がれている。

「今後、活動を増やしていきたい」。瑶子さまが講演会で語られたとおり、その率直な思いや、ご活動に触れる機会が、多くの人にとってもっと、身近になればと思う。

【プロフィル】緒方優子

平成22年入社。神戸、水戸勤務の後、27年から東京本社社会部。原子力取材班、警視庁捜査1課担当を経て、現在宮内庁を担当。

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