罠 八
勝負は……一瞬で終わった。
みちの木の薙刀(なぎなた)は旋風となり、気付いた時には――熱い痛みが岩次(いわじ)の脛(すね)で、弾(はじ)けている。
思わず庭に転がり下に落ちた蜜柑(みかん)と同じ目の高さになった岩次は誇りを粉砕された気がした。
だが、みちへの敵意の理由は他にもあったかもしれない。みちの出現により――岩次は、隆兼(たかかね)やこん、隆助や梅、弘中家の人々が自分にそそいでくれる厚情の量がへってしまう脅威を覚えたのかもしれぬ。
罠 八
勝負は……一瞬で終わった。
みちの木の薙刀(なぎなた)は旋風となり、気付いた時には――熱い痛みが岩次(いわじ)の脛(すね)で、弾(はじ)けている。
思わず庭に転がり下に落ちた蜜柑(みかん)と同じ目の高さになった岩次は誇りを粉砕された気がした。
だが、みちへの敵意の理由は他にもあったかもしれない。みちの出現により――岩次は、隆兼(たかかね)やこん、隆助や梅、弘中家の人々が自分にそそいでくれる厚情の量がへってしまう脅威を覚えたのかもしれぬ。