ウクライナ軍の反撃で膨張するロシアの戦費 国家財政を圧迫

ロシアのプーチン大統領(AP)
ロシアのプーチン大統領(AP)

ロシアがウクライナ侵攻で戦力投入を首都キーウ(キエフ)から親露派が実効支配する東部地域にシフトする中、米欧はウクライナへの武器供与を拡大している。露軍はウクライナ軍の反撃で多数の戦車などを失っており、東部で激しい戦闘が続けば戦費が膨らみ、ロシアの国家財政を圧迫していくことになる。

ロシアが2月24日に始めたウクライナ侵攻の戦費について、欧州の調査研究機関などは3月上旬、人的被害の影響などを含めた1日当たりのコストが200億ドル(約2兆4900億円)超になるとの試算を明らかにした。

露軍は侵攻当初、空爆とともに戦車や装甲車両などを進軍させて支配地域を広げたが、ウクライナ軍の激しい反撃も受けた。米経済誌フォーブス(ロシア語版)はウクライナ軍の情報をもとに、兵器の損失額について、侵攻開始から約16日間で戦車363両やヘリコプター83機などで計51億ドルになると報じた。

ストックホルム国際平和研究所によるとロシアの2020年の軍事費は約617億ドルで、侵攻の戦費負担は決して軽くない。ペスコフ露大統領報道官は今月7日、露軍に「甚大な損失が出ている」と認めた。

ウクライナ軍は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国から供与された携帯型の対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」などで露軍を攻撃している。

さらに、米国は自爆型の無人攻撃機「スイッチブレード」も支援。同兵器は戦車や軍用車両などの標的にミサイルのように突っ込んで自爆する兵器で、規模で露軍に劣るウクライナ軍にとっては有効な打撃手段となる。米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は7日、米国と同盟国が約6万基の対戦車兵器と約2万5千基の対空兵器を供与していると明らかにした。

ロシアはウクライナと停戦交渉を進めるが、東部攻撃で手を緩める気配はない。同地域で激しい戦闘が続けば、高額なミサイル攻撃の支出や兵器損失で戦費が拡大するのは必至だ。

ショイグ露国防相は先月25日にシルアノフ財務相と軍予算の増額について協議しているが、軍事費の国内総生産(GDP)比は4・3%と米英に比べても高い。欧米の対露経済制裁で外貨獲得が難しくなる中、戦費拡大はロシアの財政を直撃する。(坂本一之)

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