東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発事故で大部分が帰還困難区域となっている福島県富岡町の「夜の森地区」で9日、桜まつりが行われた。来春を見込む避難指示解除に向けて通行規制の柵が撤去された今年、桜の枝が道を覆う「桜のトンネル」全域への立ち入りが可能となった。同地区では、11日から住民の準備宿泊も始まる。
全長2・2キロの桜並木は県内有数の名所として知られるが、帰還困難区域の指定以降、柵越しにしか観賞できなかった。9日は快晴となり、青空に映える桜を多くの人が楽しんだ。
桜並木そばに自宅を残しながら同県いわき市に避難している小学校教諭佐藤加代子さん(60)は「事故後の一時立ち入りの際には『誰もいない町に咲く桜』を目にしていた。柵がなくなり、また多くの人に見てもらえるのがうれしい」と笑顔だった。