新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)収束を待つことなく、ロシアがウクライナを侵攻した。自由主義国家と権威主義国家の摩擦はますます深刻化し、現代社会に不可欠な「エネルギー」をめぐる秩序も大きく揺らいでいる。ごく短期間に大きく変容した世界の情勢に、歴史から読み取れる知恵はあるのか。歴史家で国際日本文化研究センター教授の磯田道史氏に聞いた。
◇
2年前、新型コロナのパンデミックが始まった春に、3つの懸念を警告した。嫌だが当たった。第一、コロナは波状的に襲ってきて長く暴れる。第二、権威主義国家と自由主義国家の違いが大きくなる。第三、スペイン風邪後の国際政局が第二次大戦に向かったごとく、パンデミック後は外交・軍事が極端な方向に走りやすい。