バイデン米大統領が3月末に発表した2023会計年度(22年10月~23年9月)国防予算は、世界の軍事情勢がかつてなく緊迫した現状では欠陥が多いとする批判が多方面から表明された。
まず予算の規模への批判が目立った。国防総省予算は7730億ドル(約95兆円)で「史上最大額」ともされるが、近年の国防予算はオバマ政権時代の数年を除き、一貫してほぼ自動的に増えてきた。だから毎年、自然に最大額となるわけだ。
そこで基準となるのが前年度比だが、今回は4・1%増とされた。だがインフレ率を差し引いた実質的な伸びは国防総省の算定でも1・5%とされる。米国のいまのインフレ率は7%以上だから現実には前年度からのマイナスともいえる。