再エネ100% パナ、吹田の先端都市公開

公開された「吹田サスティナブル・スマートタウン(Suita SST)=8日、大阪府吹田市(前川純一郎撮影)
公開された「吹田サスティナブル・スマートタウン(Suita SST)=8日、大阪府吹田市(前川純一郎撮影)

パナソニックホールディングス(HD)は8日、大阪府吹田市のJR東海道線岸辺駅北側で開発を進めていた、環境、健康などに配慮した先進都市「吹田サスティナブル・スマートタウン(Suita SST)」を公開した。街の中の電力を実質的にすべて再生可能エネルギー由来の電力で賄うのは、先端技術を活用したスマートシティーでは日本初という。人工知能(AI)を活用した見守りや住民向けの医療支援サービスも提供する。すでに入居が始まっており、29日から本格的に開業する。

パナソニックHDは地域の課題や特色に応じたスマートタウン開発を進めており、吹田市で3カ所目となる。パナソニック工場跡地の利活用を目的に令和元年9月に構想が発表された。

総面積は2・3ヘクタールで、子育て世帯や高齢者向けの分譲マンション、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など幅広い世代をターゲットに約360戸を用意する。敷地内の複合商業施設には、スーパーのほかクリニックやスポーツジムなどが入る。

コンセプトとして掲げるカーボンニュートラル(脱炭素)達成のため、関西電力が風力や水力などの再生可能エネルギー由来の電力を調達し、施設内の太陽光発電なども利用。一部は天然ガスなど非再エネ電源からの電力を購入しているが、再エネ電源とみなせる「非化石証書」という手法を使い、敷地内で消費する電力の実質100%を再エネで賄っている。

もう一つのコンセプトであるウェルビーイング(幸福度)では、健康寿命の延伸や安全のためのさまざまなサービスを提供する。

医薬品の開発などを手がける興和(名古屋市)が入居者向けに専用アプリを提供し、希望者の体調や持病などのデータを一括管理。クリニックや薬局に情報を提供することで、医療へのアクセスをスムーズにする。近隣にある国立循環器病研究センターなどとの連携も検討している。

見守りサービスでは敷地内に設置された4KカメラとAIの画像解析技術を活用して人の転倒や滞留を検知し、必要に応じて担当者が現場に駆け付ける。サ高住では部屋内につけたセンサーで入居者の認知機能の低下をいち早く察知するサービスを提供する。

パナソニックHDの宮部義幸副社長は「これまでのスマートタウンのノウハウを生かし、高齢化が進む日本の課題解決に貢献したい」と話した。

情報通信技術などを活用して温暖化や高齢化などの社会課題の解決を目指すスマートシティーの開発は各所で進んでおり、パナHDのスマートタウンもこのカテゴリーに入る。

千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」は、住宅や商業施設、オフィスなどが集積した日本初のスマートシティとして平成26年から稼働。令和2年度に駅と大学キャンパスを結ぶ自動運転バスを導入するなど、開発が続いている。

トヨタ自動車は静岡県裾野市で次世代技術の実験都市「ウーブン・シティ」の建設を進める。自動運転やAI、ロボットなど最新技術の実証実験を行う都市で、子育て世帯から高齢者らが実際に暮らす予定という。(桑島浩任)

会員限定記事会員サービス詳細