公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「プレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。
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■「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」8日公開
「ハリー・ポッター」世界の〝前史〟を描くシリーズの第3弾が登場。舞台は、ポッターが魔法魔術学校に通う70年前。人間を支配しようとたくらむ〝黒い魔法使い〟グリンデルバルドと、これを阻止しようとする魔法動物学者、ニュートらの攻防を描く。
今回は、題名の通り、ダンブルドアと彼の家族のある秘密が明らかになる。ダンブルドアは後年、魔法魔術学校の校長にしてポッターの恩師となる偉大な魔法使い。だが、若き日に、グリンデルバルドと友情以上の思いで深く結びついていた。
ダンブルドアに英俳優、ジュード・ロウ。ハマり役だ。前作でジョニー・デップが演じたグリンデルバルドには、デンマークのマッツ・ミケルセン。主役のニュートは英俳優、エディ・レッドメイン。
シリーズのファンには待望の新作だが、この映画で初めて作品世界に触れる人は、多分、ほとんど理解できない。予習は必要だ。雪の街とダンブルドアの孤独とを組み合わせたラストシーンは美しい。
8日から東京・丸の内ピカデリー、大阪ステーションシティシネマなどで全国公開。2時間23分。(健)
■「モービウス」公開中
「ヴェノム」に次ぐ米ソニー・ピクチャーズのマーベル関連の新キャラクター。主人公で医師のマイケル・モービウスは、自身の血液の難病の画期的な治療法として自らにコウモリの血清を投与する。モービウスは驚異的な身体能力を手に入れるが、同時に生き血を欲するようになる。
モービウスにジャレッド・レト。激しい体重調整など徹底した役作りで知られるアカデミー賞俳優で、今回も強烈な存在感を放つ。疾走感ある映像。ただ、物語がやや説明的なのは、今回が顔見せだからか。やがて、スパイダーマンの世界とつながるようだ。
東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開中。1時間44分。(健)
■「親愛なる同志たちへ」8日公開
1962年にソ連の地方都市ノボチェルカッスクで実際にあった虐殺事件を、時代に翻弄される1人の女性を通して描くヒューマンドラマ。事件はソ連崩壊まで約30年間、隠蔽(いんぺい)された。
物価高騰や給与カットに抗議し、街の中心部に集まった約5千人のデモ隊や市民を狙った無差別銃撃事件が発生する。そんな中、共産党員で国家への忠誠心も高いリューダ(ユリア・ビソツカヤ)の一人娘が行方不明に…。
監督はロシアのアンドレイ・コンチャロフスキー。60年代のソ連時代を細部まで再現。ベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。露映画。
8日から東京・新宿武蔵野館、大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。2時間1分。(啓)
■「ふたつの部屋、ふたりの暮らし」8日公開
南仏モンペリエのアパルトマン最上階に住むニナ(バルバラ・スコヴァ)とマドレーヌ(マルティーヌ・シュヴァリエ)は隣人同士だが実は長年、家族にも内緒でひそかに愛し合ってきた恋人同士。互いの部屋を行き来しながら暮らしていた。そんなある日、マドレーヌに悲劇が訪れ、ニナは究極の選択を迫られる。
同性愛の高齢女性たちの姿を描いた異色作。監督は、本作が初長編というイタリアのフィリッポ・メネゲッティ。フランスのセザール賞で新人監督賞受賞。仏、ルクセンブルク、ベルギー合作。
8日から東京・シネスイッチ銀座、15日から大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。1時間35分。(啓)