ロシアのウクライナ侵攻で、同国のゼレンスキー大統領は7日、露軍から解放された首都キーウ(キエフ)近郊ボロジャンカについて「露軍による犠牲者はより多い」と述べ、露軍の戦争犯罪が判明したキーウ近郊ブチャなどよりも犠牲者が多数に上るとの認識を示した。ボロジャンカでは同日までに倒壊した住居のがれきの下などから市民26人の遺体が見つかっているが、なお多数が生き埋めになっているとみられる。
ボロジャンカは今月、露軍を撤退させたウクライナ軍が奪還。同国のベネディクトワ検事総長や内務省のゲラシチェンコ顧問の7日の発表によると、露軍の空爆などで倒壊した住居のがれきの撤去作業が進められており、これまでに市民26人の遺体を発見したが、なお200人以上が行方不明となっている。露軍による女性の殺害や性的暴行も確認されている。
ウクライナメディアによると、ゼレンスキー氏は7日のビデオ声明で、ブチャやイルピン、ホストメリなど露軍から解放されたキーウ近郊の各都市よりも「ボロジャンカの方が犠牲者は多い」と指摘。その上で、露軍に包囲され、市民の犠牲者が少なくとも数千人に上ると指摘されている東部マリウポリについて、「露軍のさらなる残虐行為や戦争犯罪を今後、世界は知ることになる」と述べた。
キーウ近郊の各都市からはこれまでに410人以上の遺体が搬出されている。
露軍はウクライナ第2の都市ハリコフやイジュム、マリウポリなど東部の各都市への攻撃を継続。7日の発表によると、ハリコフでは前日から7日にかけて48回の砲撃を受け、市民3人が死亡した。南部の湾口都市オデッサの市当局も7日深夜(日本時間8日早朝)、露海軍によるミサイル攻撃を受けたと発表した。