ロボット型の携帯電話「ロボホン」を通じて、高齢者が地域の歴史を児童らに語る授業が、堺市南区の市立桃山台小学校で行われた。同市と大阪大が連携して「アバター」と呼ばれる仮想キャラクターの活用を探るとともに、高齢者の生きがいづくりを目的にしている。
「(当時の)給食はどんなメニューでしたか?」「昔は給食がなくて、お弁当でした」
地域の高齢者から地元歴史を聞き出す授業が3月に行われ、3年生(当時)の児童22人が昔の学校生活をテーマにロボホン8体を通じて地域の高齢者たちとやりとりした。児童らは数人のグループに分かれて、ロボホンに質問。同校から約500メートル離れた場所で待機している高齢者たちが、パソコンでロボットを操作しながらロボット風に加工された音声で児童らの質問に答えた。
ロボットや画面上のキャラクターなどの「アバター」が遠隔操作できるまでに技術が向上し、堺市と大阪大は「泉北アバタープロジェクト」として実用化を進めている。泉北ニュータウンで暮らす高齢者らが「2025大阪・関西万博」で案内役を務めることを目標にしており、高齢者らが外出困難になっても社会参加が続けられると期待されている。
授業を受けた中山輝羅くんは「緊張したけど、楽しかった」と笑顔で語る。また、音声が途切れたり、周りが騒がしくて聞き取りづらいこともあり、「普通に質問した方がよかったかも」と課題点を指摘する声もあった。
大阪大先導的学際研究機構の西尾修一特任教授は「新しい技術が生まれることで、新しい生活が生まれる。今までは難しかったことに挑戦することが大事だ」と話していた。