地方政治ルポ

千葉県知事〝熊谷流〟就任1年 担当記者が検証

気になる自民との関係

NTTのグループ企業勤務を経て、旧民主党の千葉市議として政治のキャリアを歩み始めた熊谷俊人知事には、自民党と距離感がある印象がつきまとう。知事就任後は県議会で過半数を占め、知事選で惨敗した自民との関係が注目された。

しかし、この1年、県が提出した議案は自民も賛成に回り、予算を含めことごとく可決された。選挙で熊谷氏を支援した〝知事与党〟の立憲民主党の県議からは「自民を意識してか、私たちが求める政策の全てを実行しているわけではない」との声が漏れる。

「熊谷がどうしてここにいるのかと思う方がいるかもしれない」

衆院選で自民党の林幹雄氏(左)を応援する熊谷俊人知事=令和3年10月、千葉県成田市(小野晋史撮影)
衆院選で自民党の林幹雄氏(左)を応援する熊谷俊人知事=令和3年10月、千葉県成田市(小野晋史撮影)

昨年秋の衆院選で与野党候補による激戦が展開された千葉10区。投開票日の2日前、熊谷氏はJR成田駅前で立民候補相手に苦戦する林幹雄氏(自民)の脇でマイクを握り、周囲を驚かせた。立民候補は知事との2連ポスターを選挙区内で貼るなど、関係をアピールしていたが接戦の末に敗れ、比例で復活当選した。

この異例の応援演説の仕掛け人は、石井準一参院議員(自民)であると、千葉県政界の関係者の間では言われている。石井氏は「熊谷支援」をいち早く表明、圧勝に一役買ったとされる。そのためか、知事への石井氏の影響力を疑う声は自民県議らを中心に聞かれる。今冬には石井派とされる県議と県幹部の癒着を疑う出所不明の文書も出回った。知事選でのしこりは今も残っているようだ。

「私の行政運営の原則は、特定の個人、団体、勢力に偏らないことだ。石井さんにも、他の国会議員にも、さまざまなご協力を頂いている。ことさら(県議らが)石井さんを意識するのは、よく分からない」

知事は産経新聞の取材にこう話している。

「政党より個人。これは間違いない。県政運営にご協力いただいている方々には、当然こちらもしっかりとお応えをしていく」。これが知事の各議員への姿勢だ。千葉市長時代も同様で、会派を問わず、各議員の会合に顔を出すか否かの判断基準ともなってきた。その結果、自民市議の間での熊谷氏に対する温度差が生じ、昨年春の市長選では熊谷氏の後継候補をめぐり、会派が分裂するに至った。

会員限定記事会員サービス詳細